― 沖縄県主任介護支援専門員フォローアップ研修 ―
主任ケアマネの「問い」と「気づき」が、現場と制度を動かす
「その質問は、誰のためのものか」
「この気づきは、現場だけで終わらせてよいのか」
令和7年12月17日、沖縄県内の主任介護支援専門員を対象としたフォローアップ研修が、午前・午後の二部構成で集合形式により開催された。主催は、沖縄県から研修運営を受託する一般社団法人沖縄県介護支援専門員協会。いずれの研修も、現場で長年実践を重ねてきた主任ケアマネジャーだからこそ直面する「次の課題」に正面から向き合う内容となった。
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【午前の部】:現場の違和感を、制度につなぐ力
午前に開催されたのは
『ケアマネの気づきを制度・政策につなげよう!
~主任ケアマネだからできる政策へのアプローチ~』。
講師を務めたのは、政策形成や行政実務に深く関わってきた中澤伸氏。
日々のケアマネジメントの中で感じる「おかしい」「やりにくい」「この制度では救えない」という違和感を、単なる不満や愚痴で終わらせず、**「誰に・いつ・どのように伝えるか」**という視点で整理し、行政との建設的な対話につなげていくプロセスが語られた。
参加者からは、
「行政を“敵”にするのではなく、パートナーとして関係を築く視点が腑に落ちた」
「地域ケア会議に、もう一度挑戦してみようと思えた」といった声が多く寄せられた。
現場の実践者が“声を上げる主体”となること。
それは主任ケアマネに期待される、もう一つの専門性であることを、参加者一人ひとりが再認識する時間となった。
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【午後の部 】:支援の質を決めるのは「質問力」
午後に開催されたのは
『カード式事例検討会を通じて質問力を磨く』。
講師は、実践的な人材育成や事例検討で定評のある金城隆展氏。
カードを用いた事例検討という体験型の手法を通して、「質問とは何か」「なぜその質問をするのか」を徹底的に掘り下げた。
参加者は、情報が限られた状況から事例を読み解き、問いを重ねる中で、
「自分は無意識に先入観で見立てていた」
「“聞いているつもり”で、実は相手に語らせていなかった」
といった自己覚知に至る場面も多く見られた。
アンケートでは、研修内容について
「実務にとても役立つ・役立つ」と回答した参加者が約8割を占め、
「事例検討会」「インテーク」「担当者会議」「人材育成」など、幅広い場面で活かしたいとの声が寄せられている。
「質問力は技術であり、同時に姿勢でもある」
金城氏の言葉は、参加者の心に深く残った。
対面だからこそ生まれた「熱」と「つながり」
両研修に共通して聞かれたのは、
「久しぶりの集合研修が楽しかった」
「対面だからこそ、気づきが広がった」
という声だった。
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オンライン研修が定着した今だからこそ、同じ空間で考え、迷い、笑い合う時間の価値が、改めて浮き彫りになった一日でもあった。
主任ケアマネジャーは、単なる経験者ではない。
現場を問い直し、人を育て、制度を動かす可能性を持つ存在である。
この日の学びと気づきが、それぞれの地域で、利用者の暮らしと介護保険制度の未来につながっていくことが期待される。
(主任フォローアップ研修WG:末吉淳志)